第7章 人を育てること、伸ばすこと
◆インストラクターへの憧れ
東日本の新幹線区は、私が乗務している山形新幹線をはじめ、秋田、長野、東北、上越の5つ。さらに9つの営業支店に分かれ、合計で約1300人の販売員が各営業支店に所属しています。
販売員は「トレーニー」と呼ばれる新人から、「チーフインストラクター」という役職まで、ピラミッド式に5つのランクに分かれています。新幹線に乗っているときも、その販売員がどのランクなのか、ネームプレートの色を見ればわかるようになっているのです。それぞれの名称とネームプレートの色は、次のようになっています。
〇トレーニー・・・販売員になって1年目までの新人。ネームプレートはまだなく、色もなし。
〇アテンダント・・・1年目を過ぎると自動的にアテンダントに。全体の販売員の半分以上がこのランクに属する。ネームプレートの色はオレンジ。
〇リーダー・・・支店長の推薦などによって選ばれる、インストラクターのアシスタント的存在。ネームプレートの色は青。
〇インストラクター・・・試験を受けて全線区の中から選ばれる。全線区で15人~20人ほど。新人や後輩の教育にあたる。ネームプレートの色は緑。
〇チーフインストラクター・・・インストラクターのなかでも、とくに総合的に人材教育に取り組む。現在この役職にあるのは全線区で3人。ネームプレートの色は紫。
また、ネームプレートには色だけでなく、ランクに併せて星がついています。アテンダントは星1つ、チーフインストラクターは星4つ、といった具合です。
ここでひとつ注意したいのは、このランクは販売での売上とはまったく関係がないということです。インストラクターに求められるのは、「いかにマニュアルを完璧に身につけ、それを上手に後輩に教えられるか」ということ。つまり、後輩のお手本となることができなければ、どれだけ売り上げを上げていてもインストラクターになることはできません。
現在、私は1300人のなかで、チーフインストラクターを務めています。そんな大層な役職をいただけるのはなんだか不相応な気もしますが、とてもありがたいことだと思っています。しかし、順調にインストラクターになれたわけではありませんでした。