第七章 人を育てること、伸ばすこと
◆いつでもあなたの身近に
チーフインストラクターという役職についていることや、「カリスマ販売員」としてテレビや講演会などで取り上げられることから、後輩が私に距離を感じてしまわないよう、普段から気をつけていることがあります。
それは後輩への「声がけ」。ひとりひとりのことをきちんと見て、「あなたのいいところも悪いところも全部見ているよ」というつもりで、積極的に後輩に話し掛けるようにしています。
お客さまに対してもそうですが、後輩に対しても、私は常に身近な存在でありたいと考えています。「売り上げを上げているチーフインストラクター」となれば、後輩にとって近寄りがたい先輩になってしまいかねません。
「この人は私の身近でいてくれる。私を守ってくれる先輩、そして仲間なんだ」
という気持ちを持ってもらうことが大切だと思います。そのため、研修最終日で不安がる新人の子には「もう一回、一緒におさらいしようか」といって緊張をほぐしたり、悩みを抱えているように見える後輩には「何かあったら、いつでもメールしなさいね」などと声を掛けるようにしています。
不思議なもので、私のほうがそうやって心掛けていると、後輩からも気軽に話し掛けてきてくれることが多くなります。ときには「先輩、こうやるとめちゃめちゃ売れますよ」と販売のポイントを教えてくれることも。そんなとき、私はそれが知っていたことでも「あ、知ってる知ってる」とはいわないようにしています。
私が「知っているよ」といってしまえば、会話はそれで終わり。後輩にも、「やっぱり何も知っている先輩なんだな」と敬遠されてしまいます。きっと後輩も、自分が知っていることを私に伝えてくれようと、一生懸命話してくれたのだと思うのです。ですから私は、「へー、そうなんだ。じゃあちょっと今度やってみるよ」と答えるようにしています。
そのうち本当に知らなかったこともあったりして、「うっ、私より一枚上手だった・・・・」なんていうことも(笑)。後輩からでも学べることはたくさんあるのですから、あまり「偉い先輩」としてお高くとまっていたら、そのチャンスを逃してしまいかねません。